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[INTERVIEW] SHIN SUZUKAKE x HERMER

鈴掛真の言葉は、57577という短歌の世界に納められる。
同じリズムで言葉を並べているのに、一句一句世界観がまるで違って見える。

頭の中を開けて覗いてみたくなった。
執筆中に会いに来てくれた彼は、憂鬱そうな顔をしていた。
少し煮詰まっているのだという。

いつも笑顔な彼だからこそ、そんな顔に興味が湧く。

言葉が流れ出るように語った彼は、少しすっきりした顔で帰っていった。
今夜は明け方の4時まで原稿を書くのだそうだ。

鈴掛真(すずかけ しん)/ 歌人

1986年2月28日生。愛知県春日井市出身。東京都在住。
名古屋学芸大学メディア造形学部卒業。
広告会社でコピーライターを3年間経験後、作家業に専念。短歌結社無所属。
著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。

オフィシャル・ウェブサイト
http://suzukakeshin.com/

オフィシャル・ブログ
http://ameblo.jp/suzukakeshin
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鈴掛真 × HERMER 石原
石原:鈴掛真を知らない人に自己紹介する時、なんて自分を表現する?
鈴掛真:「歌人です。」って言うかな。
石原:ではその「歌人」になったのはいつからなの?
鈴掛真:短歌を始めたのは大学4年の就活が終わった秋頃。でも本当に歌人になろうと思ったのは、平成21年のNHK短歌大会で秀作をもらった時。さらに本格的に名乗るようになったのは、本が出たあとだね。
石原:人に『僕は歌人です』と言うと、人々のリアクションってどんな感じ?
鈴掛真:9割、通じない。だからちょっと長いけど「57577の短歌の作家です」って言う様にしてるのを今思い出した。
石原:例えばどんな作品作ってるんですか?って聞かれた時に見せる作品を教えてください。
鈴掛真:

会うよりも
会わないままでいるほうが
好きになるのはどうしてだろう

今まで2000首近く書いてきた中で、いちばんベーシックでシンプルに「鈴掛真の短歌」が表せた気がするから。これは僕の本のいちばん最初に載ってる。
石原:会わないままでいるほうが、好きになるのはどうしてなんだろう?
鈴掛真:好きな人に実際に会っている間はなんだか落ち着かなくて、冷静にその場の雰囲気を楽しめなかったりする。バイバイした後、1日を振り返るときにようやく冷静になれる。次に会う間にどんどん気持ちが膨らんで、人を好きになるのはその繰り返しなんじゃないか、と。
石原:この歌には真くん自身の実体験は含まれている?
鈴掛真:うーん、半々かな。実体験からイマジネーションを膨らますこともあるけど、僕はすごく作為的に歌を詠むタイプで、「こんな歌を書いたらみんなも共感してくれるんじゃないかな」と常に考えてるよ。もちろん恋愛中に、この歌みたいなことを思ったことも、実際何度かあるけどね。
石原:そうなんだね。別の人になりきって、詠む時もあると。
鈴掛真:あるある。むしろ、自分の価値観と正反対のことを書いたりもする。例えば、、、

ドラえもんに
ひとつお願いするのなら
君を忘れるためのスイッチ

ってのがあるんだけど、僕はひとつひとつの恋愛を絶対覚えていたいタイプだから、自分の価値観に反するんだけど、こういう考えの人の方が多いんじゃないか、と思って書いたりする。
石原:うん、あるね。そういうスイッチ欲しい時、あるよ。
鈴掛真:でしょ? こういう、自分と違う価値観の歌を書く方が、実は楽しかったりする。でも僕の短歌はぜんぶ僕の実体験で実際の価値観なんだと思ってる人がほとんどだと思うから、よく誤解を生んでる。
石原:うん、自然とそういうフィルターを通してしまうかも。
鈴掛真:それはそれで良いんだけどね。顔を出しながら活動してるから、読者のみんなもそう思うだろうし。
石原:別の価値観をイメージして 詠んでいるという話を聞いたら、より興味を持ったな。
鈴掛真:ありがとう!でも僕みたいな歌人は珍しいと思う。
石原:無茶ぶりをさせてもらいたいんだけど。。
鈴掛真:お!?なんだ!!?(笑)
石原:即興で詠んでもらいたい。。しかもテーマ付き。
鈴掛真:即興は苦手なんだけど、いいよ!
石原:では、今から選択肢を出すので、その中を一つ選んで頂けますか。
鈴掛真:はい!

お題:その人物になって、短歌を詠んでください。

1. 妻に先立たれたおじいさんの短歌
2. 歴史上の人物(誰でも良いです)の短歌
3. とても孤独な女の人の短歌

鈴掛真:なかなか粋なチョイスだね。5、6分待ってね。

10分後…

鈴掛真:できたー!! 10分オーバーだったね(笑)

カチコチと
壁掛時計は鳴り続く
私が死んでしまった後も

石原:これは、1番かな?あ、3番か!
鈴掛真:最終的には3のつもりで書いたけど、本当は1で書こうとしてて、そのイメージを引きずったのかもね。
石原:なるほどね、すごく孤独。
鈴掛真:人は死ねば無音になるはずなんだけど、実は一人暮らしの部屋でも音って鳴ってるんだよね。時計とか、冷蔵庫とか。
石原:窓のすき間風の音とかね。
鈴掛真:そうそう。それが、私なんかいなくても、っていう感情をさらに駆り立てるような気がして。
石原:いやぁ、すごく生まれたてのホヤホヤ感出てて、すごくいい。
鈴掛真:人から課題を与えられると、とんでもなく体力を消費する。
石原:真くんは、柔らかいもの、暖かいもの、冷たいもの、悲しいものなど色々な人の気持ちが理解出来る人なんじゃないかな、って思っていて。おじいさんや女の人は、現在はなれないんだけど きっと想像出来るんだろうなって思って、リクエストさせてもらいました。
鈴掛真:なるほど〜。与えられたテーマではあったけど、1も3も、どこかに自分がいるような気がしたんだよね。僕も祖父を亡くしてるし、一人暮らしだから孤独を感じるときは多々あるし、だから完全に他人になったっていうよりかは、1や3のような人の気持ちを理解しようとしたのかもね。
石原:真くんって、幼い頃どんな少年だったの?
鈴掛真:「早く大人になりたい!」って毎日思ってた。
石原:どうして?
鈴掛真:3人兄弟の末っ子で、家族の中でもご近所づきあいでも親戚の中でも、いつでも一番下だったんだよね。たとえば大人達がおもしろいと思う話題が自分には理解できなくて、自分もみんなを笑わせたくて必死に話すのに、やっぱりみんなは子ども扱いをして対等に接してくれないのがすごく悔しくて。だからよく泣きわめいてた。さぞ泣き虫でだだっ子だと思われてただろうけど、どうにか大人達に近付こうと必死だったんだよね。
石原:放課後はどういう過ごし方をする小学生だった?
鈴掛真:姉ちゃんがひとつ違いだから、ずーっと姉ちゃんにべったりだった。4つ上の兄ちゃんとは、さっきみたいな理由で近寄りづらくてね。姉ちゃんが友達と遊ぶのに混ぜてもらってたりしてた。
石原:じゃあ同級生とはあまり遊ばない子だったの?
鈴掛真:そうかもね。同級生の男の子達との付き合いは少し苦手だったかな。
石原:おそらくその時の周りの男の子の夢って野球選手になりたい、社長になりたい、警察官になりたいとか、そういう夢を持つ中、鈴掛真は何になりたかった?
鈴掛真:小学生の時は、恥ずかしいんだけど、漫画家になりたかった。家でお絵描きばっかりしてたからね。
石原:今でも絵は描いたりする?
鈴掛真:ほとんど描かない! お絵描きばっかりしてた割にはすごく絵がへたくそだから。 当時はほんとに落書きしかしてなかったしね。
石原:短歌を詠む時って、頭の中で情景が出てくるのか、文字が出てくるのか、どうイメージを膨らますの?
鈴掛真:頭の中に文字は無いかな。脳内は完全に映像が支配してる。それと同時に実際に文字を書きはじめて、目では文字を見ながら、頭では映像をイメージするのを同時にやってる感じかな。
石原:その時はパソコン?
鈴掛真:ほとんどiPhone。たまにパソコンでもやるけどね。
石原:ひらめきは、家の中に居る時と外出してる時と、どちらが多い?
鈴掛真:9割、外出中だね。1割は家の中。小説家さんみたいに、机に向かって「さあ今から書くぞ!」みたいなことはあんまりやらないね。
石原:なるほど、それで iPhoneにメモを取る事が多いんだね。
鈴掛真:そうそう。
石原:自分で手応えを感じるような作品が出来上がった時ってどんなテンションなの?
鈴掛真:ひとりで噛み締めるかな。短歌を初めて書いた日から今日までのことを振り返って。
石原:その時、真くんは笑ってるの?
鈴掛真:ほっとしてる。「あー、●年目にしてやっとこの言葉が出て来たか。。。」って。
石原:自分にとって最高の作品が出来た後にさ、人に見せるじゃない? その時の反応が、あまり良くない時って落ち込む?
鈴掛真:結構落ち込むかな。あんまり無いんだけどね。いいと思ったやつは大概、人気もあるような気がする。
石原:落ち込んだ真くんは、どのように過ごす?
 鈴掛真:寝る。ハイパー落ち込んだときは、帰宅したらご飯も食べずにまず、寝る!嫌なことは寝て忘れるタイプだから。
石原:たくさん寝る人?
鈴掛真:爆睡するときとそうじゃないときの差が激しくてね。普段は睡眠4、5時間なんだけど、予定の無い日は下手すると20時間くらい寝ちゃう!
石原:朝起きたら、まずなにする? あ、ちょっと待って!パジャマ?
鈴掛真:パジャマ派だよ! ジャージとかじゃなくて、いわゆるザ・パジャマみたいなの。
石原:パジャマ着て寝てそう。で、布団から出て。。。で、まずなにするの?
鈴掛真:まず水(冬は白湯)を飲むね。それから顔を洗って、髪を適当に直したら、もう着替えて出掛けちゃう。
石原:白湯!!朝ご飯は、食べないのね
鈴掛真:余裕のある朝はバナナを1本食べるときもあるんだけどね。だいたい外出しなきゃいけない15分前とかに起きるから。
石原:結構低血圧なのかな?午前中はぼーとしてる?で、昼ご飯は沢山食べて。。
鈴掛真:低血圧かもね。でも、朝はノリのいい音楽を聴く様にしてるからそれでシャキッとする。
 石原:洋楽?邦楽?
 鈴掛真:どちらも聴くよ。朝はわりとわかりやすい、ベタなエレクトロを聴いたりする。Perfumeとか、洋楽だとOwl Cityとか。
石原:ちなみに、音楽聞いてる時とそうでない時と、ひらめきの差はあったりする?
鈴掛真:そうだねー、音楽が実際に耳に入ってきてるときは、ほとんどひらめかないんだよね。短歌をつくるときは極力、人の声が無い時が良くて。だからアルバムの曲と曲の間にひらめくことはあるね。
石原:たしかに、歌が入っている時は新しい言葉って入りづらいかもしれないね。私も、文章書いてる時に音楽が必要な時はクラシックを聞いたりする。
鈴掛真:そうだね。仕事で原稿を家で書かなきゃいけないときは、インストすらも聞かないかな。原稿を声に出して、音の響きをチェックしたりするから。
石原:あ、それすごくいい。音の響きか。
 鈴掛真:うん、短歌はもちろんのこと、コラムとかの仕事のときでも、ぜったい声に出して読むね。
石原:誠実だよね。物事に対する取り組み方が。
鈴掛真:そう言ってもらえると嬉しいけどね。音の響きはすごく神経質に気を使うし、時間も無駄にかかっちゃうんだけどね。本当は原稿として、そこまで求められていないかもしれないんだけど。音なんかより、「おもしろいこと」を書け、みたいな。
石原:モデルをお願いしてさ、撮影をさせてもらった時に、この人は誠実に仕事をする人だなって思ったの。
鈴掛真:それは嬉しいな。
石原:写真にしても、短歌にしても、コラムにしてもその姿勢がにじみ出てるよね。
鈴掛真:もともと広告会社の制作部署にいたからかな。原稿を扱う側だったんだよね。今とは逆に。それでやっぱり原稿をぜんぜん出してくれない人とか、字が汚くて読めたもんじゃない人とか、いろいろ居て。自分が原稿を出す側になったときは、「この人と仕事してよかった」って思ってもらえるような仕事をしようと思ったんだよね。今それが本当にできているかはわからないんだけど。
石原:その両方を経験出来ているって、素敵な事だね。 産みの苦しみも、作品を世に広める側も経験しているとさ。
鈴掛真:そうだね。だから会社員としての経験はすごく良いものだった。たまたま今やってる活動ともリンクしてるし。
石原:振り返ると、あの経験はここにリンクしていたんだなーって思う時ってあるよね。
鈴掛真:あるある。
石原:この先、真君がどんな人生を歩んでいくのか、それに伴いどんな言葉が出てくるのかすごく興味があるんだ。
鈴掛真:ありがとう! どうなっていくんだろうね。
石原:きっと良い事も、悪い事も、すべて糧になるよね。
鈴掛真:うん、基本的にそう思いながら日々過ごしてる。「無駄」なんてものはこの世にひとつも無いんじゃないかって本気で思ってるような性格だから。
石原:最後に、今回モデルを引き受けてもらい、 HERMER のシャツを着てもらいましたがいかがでしたか?
鈴掛真:うん、僕はメンズサイズではSでもどうしても大きい場合がほとんどで、普段はレディースの服も買って着てるんだけど、やっぱり女性の身体に合わせてあるからどこかしっくり来ないんだよね。だけどHERMERのシャツは本当に身体にフィットしたっていうか、しっくり来た感じがあった。
石原:おおお!!気になったデザインのシャツはありましたか?
鈴掛真:バラの前で撮影した、花柄の。いずれ欲しいなと思ってる。
石原:ペルセポネだ。今度、真くんが思う私のイメージの短歌、作ってください!お返しにプレゼントします。
鈴掛真:おおおぉぉ!それはじっくり考えなきゃ。
XS TOKYO.COM恒例の鞄の中身も拝見させて頂きました!!
財布は、長年使ってるWhitehouse Cox。
アイディアを思い付いたときのために、iPhoneの他にノートと鉛筆も持ち歩いてます。
ポーチは大好きなドナルド・ダック! 目薬やリップクリーム、ガムなんかが入ってます。
「好きと言えたらよかったのに。」
世界で一番せつない62のメッセージ

鈴掛真/著
(大和出版刊)
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