FEATURE

[INTERVIEW] FUMINO SUGIYAMA x HERMER

安心できる場所が欲しいと願う人は多いけれど
そのような場所を作ろうと思う人、
ましてや実現させている人はどれくらい居るだろうか?

杉山文野と言う人は、まさにその人である。
テレビ番組、NPO、フェンシング指導、飲食店経営など、
多様な方法でその「場所」作りに取り組んでいる。
そんな様々な顔を持つ彼は日常でどんなモノを選び取っているのだろうか。
ファッションと言う切り口から彼の魅力に迫る。

杉山文野

1981年、東京都新宿区生まれ。フェンシング元女子日本代表。
早稲田大学大学院にてセクシュアリティを中心に研究した後、その研究内容と性同一性障害である自身の体験を織り交ぜた『ダブルハッピネス』を講談社より出版。韓国語翻訳やコミック化されるなど話題を呼んだ。
卒業後、2年間のバックパッカー生活で世界約50カ国+南極を巡り、現地で様々な社会問題と向き合う。
帰国後、一般企業に3年ほど勤め、現在は自ら飲食店を経営するかたわら、各地での講演やNHKの番組でMCなども勤める。
―杉山さんの私服を拝見して、さりげないお洒落がちりばめられているなあと思ったんですが、お洒落の参考にしていることはありますか?
僕は元々ファッションにうとくて、お洒落はあまり気にしませんでした。ただ、遡ると自分の体に対するコンプレックスが強くて「自分の体のラインが出ない」ということを基準に服を選んでいました。例えば、女子っぽく見えないアイテムだったり、胸が嫌だったときは、胸元に大きくプリントが入っているものや、好みとは関係なく選んでいました。しかし胸の手術をした後からようやく自分の着たい服を選ぶようになりました。ここ3〜4年でですね。とは言え、やはりサイズ感はいつも気にしていて、どんなにいいなと思うデザインよりも、自分の体にフィットするかしないか。サイズが合う洋服に巡り会った時は、まとめ買いをしたり、色違いで買っちゃいますね。あと僕はUNDERCOVERが結構好きです。それも理由はサイズが合うからなんですけどね。結構着ます。
―杉山さんの好きな色やアイテムがあれば教えてください。
今は赤が好きです。昔は黒とか暗い色とか着てたので、最近は明るい色を着る事が多いですね。赤いシャツとか、全部赤にするのはないですけど、靴だったり手帳だったりワンポイントで赤を取り入れる事が多いです。
―バックの中身を拝見させて頂きましたが、いつもこんなに荷物少ないんですか?
そうですね。パソコンぐらいですね。バックパッカーだったからって言うのもあるのかもしれないんですけど、普段とにかく身軽な方がいいと思っていて。必要最低限な物しか持たないかなあ。
―旅をするにつれ、身軽なのに慣れていったんですか?
そうですね。結局旅の持ち物を決める時って、最初は荷物がめちゃくちゃ多いんですよ。だけど、旅が長くなっていくと本当に自分にとって必要なものがわかっていくので、どんどんシンプルになっていったと言う感じです。
―杉山さんは本当に幅広く活躍されてると思うのですが、服装においてTPOなど意識することはありますか?
表に出る仕事が増えて前よりも気にするようになりました。カッコつけるというのとはちょっと違いますが、かっこよくありたいとは思います。もちろん無理なく自然体でいたいとは思っているんですけどね。バーで働いてる時も、テレビの生放送で話している時も、講演会をしている時も、僕自身は基本的にはあまり変わらないんですよ。だけど、やっぱりある程度服って武装するという言い方は違うかもしれないけど、やっぱり良い物、それは値段が高いというわけではなく、自分の好きな物、自分がいいなって思って着る服って少し自信がつくんです。そういった意味では、前ほど適当じゃなく最近は気をつけてます。
―今一番欲しい物はなんですか?
うーん・・・
―物欲ってあまりないですか?
そうなんですよ。あまりあれが欲しいとか、これが欲しいとか無いんですよね。アクセサリーとかも全然つけないですし、時計が欲しいとか車が欲しいとかもないし、だからそういう意味で言うとさっきも答えたように「必要最低限な物」があればいいとは思いますね。
―常に身軽でいたい。
そうですね、基本移動はチャリンコですし。場所が場所なんで車を使う必要がないっていうのもあるんですけど。
ファッションアイテムでいうと、靴が欲しいかな。靴は好きなので服の枚数に比べたら結構いっぱい持っています。
―杉山さんが思うお洒落だなと思う人は誰ですか?
僕はあまりテレビを見ないので、この人お洒落だなあと思う人はあまりわからないかな。ただちょっと自分で言うのは恥ずかしいんですけど、自分の彼女がすごくお洒落だなぁと思っていて(笑)
デザイナーの仕事をしているので、テレビに出る時など彼女に相談して選んで貰ったりしています。自分で選ぶといつも似たり寄ったりになっちゃうけど、人に選んで貰うと自分の違う可能性を引き出してくれるような気持ちになれるんですよね。最終的に決めるのは僕ですけど、彼女にあんなのがいいんじゃない?こんなのが良いんじゃない?なんて提案してもらってその中から決める事が多いです。
―テレビの時以外も、コーディネートの相談はされるんですか?
しますね。例えば今日、自分がこのシャツを着たいと思ったときに、ボトムは何を合わせたらいいのかな? とか。すごく色に敏感な子なので、彼女の色使いがいいなと。今までの僕だったら上は何を着ようが下はジーパンとスニーカーばかりだったのが、彼女に提案してもらったボトムを履いてみて、ああこう言う組み合わせもありなのか、と思ったり。
―彼女に出会って、自分もお洒落になったかなって思ったりしますか?(笑)
恥ずかしながらちょっとあるかもしれません(笑)
―デートの時はどんな服を着ますか?
デートだからコレを着て、仕事だからコレを着ようみたいな事ってあんまりないかもしれません。フォーマルな所に行く時はスーツを着るくらい。それ意外はあまり気にせず、着たいときに着たいものを着てますね。
―今一番関心のある事ってなんですか?
七年後のオリンピックが決まった事にすごく関心がありますね。僕はずっとフェンシングをやっていて、今は子供たちにフェンシングを教えているんです。やっぱりいち指導者としては今教えている中学生とか、高校生くらいの子達の七年後って一番メダルの可能性があるので、教える側も凄いモチベーションが上がりました。全く別の視点からいうと、五輪という大きなパワーをどのように今後の日本の様々な分野に生かしていくのかということ。例えば、東北の復興。復興もままならないのにオリンピックなんて、と言う意見もありますが、決まったからには海外からも改めて注目される今、個人としても国としてもそれぞれがやるべき課題を今一度考えて行動に移す事が大事だと思っています。またLGBTのこともそう。世界中から沢山のお客様を招くのに多様性が受け入れられない街なんて恥ずかしいと思っています。LGBTに限らずあらゆるマイノリティにとっても過ごしやすい街になるよう、様々な活動も積極的にやっていきたいと思っています。最近あまり明るいニュースがなかったじゃないですか。この嬉しく大きなエネルギーを、使うべきところにしっかり活用したいですね。
―そうですね。
僕、北京もロンドンも現地にフェンシング・太田雄貴選手の応援に行って思ったんですけど、やっぱり開催地ってのは街にとても活気があったんですよね。東京もそうでありたいし、絶対そうなるはず。僕の生まれ育った歌舞伎町で言うとコマ劇場の跡地に2015年にワシントンホテルが建つんです。不景気だとか、人があまりいない、なんて言われてますけど2015年の開発とオリンピックという目標ができたので街が少しでも賑やかになるような活動もできたらなと思ってます。
―今教えてる生徒さんの中で、オリンピックで活躍出来そうな選手は居ますか?
今結構メディアにも取り上げられてて、「未来の太田雄貴」なんて言われている松山恭介という選手が居て、恭介は僕が今教えているクラブの出身なんですよ。小・中学生の時に指導に当たっていました。今は高校生になってインターハイ二連覇中、来年も優勝すればそれこそ太田雄貴選手の記録に並びます。一番オリンピックに近いんじゃないかなあ。いずれ僕の大学の後輩になる予定なので、本当に楽しみですよ。
―7年後、杉山さんはどんな活動をされていると思いますか?
多分、変わらずいろんなことをやっていると思います。飲食店をやったり表に出る活動をしたりというのは続けてると思うんですけど、僕の根本にあるのは飲食店をやってようがテレビに出てようがイベントをやろうが目的は一つ、サードプレイスである「コミュニティ作り」なんです。
例えば「グリーンバード」でゴミを拾ったり、「シブヤ大学」で町づくりのNPOをやったり、「ハートをつなごう学校」と言うセクシャルマイノリティの子供達の支援サイトを作ったり、「Tokyo Rainbow Week」というイベントをやったり、お店を作ったり、全部「場所作り」なんですよ。
元々実家がとんかつ屋だというのもあり、飲食に携わってきたんですけど突き詰めると飲食店でなくてもよくて、コミュニケーションツールのひとつとして飲食店をやっている、という感じなんですね。職場とか家庭ってどうしても距離が近すぎて頑張らなくてはいけない部分が出てくるじゃないですか。だから飲み屋だったり、ボランティア活動だったりって、利害関係が絡まない分、素の自分になれる場所を作りたい。そのコミュニティというものを僕はとても大事にしています。この店も別におなべバーですって言ってやってるわけではないですが、僕がやった結果として、スタッフの子もお客さんもLGBTフレンドリーな人が集まったという感じですね。そういう意味で言うと飲食店のチェーン展開をしていくというイメージはないですが、「場所作り」として色々なところにお店を作っていくというのはやりたいなあと思っています。
―この度、HERMERの洋服を着てみていかがでしたか?
率直に可愛いなと思いました。僕、嫌なものは嫌なので、最初に見た時にああ可愛いなと思って。あとはサイズが本当に合うので。服はね「サイズ感」だと思うんですよ。今日着ていて全然違和感なかったですし、そのフィット感、やっぱり違和感がないっていうのは洋服の一つの魅力だと思うんですよ。自分に合っているから違和感がない。普段帽子はかぶらないのでそれだけはちょっと違和感ありましたけどね(笑)でも、今回こういう機会をいただくと、自分で選ばないもの、新しい自分の可能性みたいな発見があり、すごく面白かったです。
―最後に歌舞伎町を一言で例えると?
「懐の深い街」。良いも悪いも、すべてを受け入れる懐の深さがある。そんな歌舞伎町に、いい事があったときも、嫌な事があったときも家に帰る前にちょっと寄って一杯飲めるような場所があったらいいなと思ってこのお店を作ったので、是非Like! SHINJUKUに気軽に遊びに来て下さい。
「ダブルハッピネス」
杉山文野/著
(講談社文庫)
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